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白鷺一家で書いた小ネタ3つまとめてみた。
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○ケーキは一日一個まで
「ケーキは一日に一個までだよ」
だからもう今日はおしまい!
あいが言うが目の前にケーキがあるのだ。
そして白鷺家のお子様は父親譲りか甘味が大好きときている。
「ただいま帰りました」
「おかえりー!」
「お母さんはどうしました?」
いつもなら玄関まで迎えに来てくれるというのにと白鷺が半ば本気で残念に思っていると息子がそれに答えた。
「お風呂ー」
父親の質問に一答で答えつつケーキを口に運ぶ。
「パパー」
「なんですか?」
「ケーキ、あげる!」
そう言って生クリーム一杯のスポンジを白鷺に差し出してきた。
普段は自分にぞんざいな態度の息子が珍しく優しい愛らしい反応をくれた事に感動をした白鷺は胸をときめかせる。
子供は苦手だが自分の息子はやはり可愛い。
「それはあなたのケーキでしょう? 食べてしまいなさい」
「はーい」
「あ、涼真さん! おかえりなさい! ごめんなさい、お迎えに出なくて……」
「いいえ、そんな事は気にしないでください」
「今日はとっておきがあるんですよー」
そう言ってあいが冷蔵庫を見たが目的の物は見つからなかったようだった。
あれ?あれ?
ない、ないと繰り返してる。
白鷺を除いて家に居たのはあいと涼。
「ケーキ……、涼真さんの分がない………」
「……」
そのケーキの行方を瞬時に知った白鷺はさっきときめいた自分を引っ叩いてやりたい衝動に駆られた。
あれは息子の優しさじゃなく単なる罪滅ぼしだったようだ。
○雨ザーザーのお散歩日和
白鷺家の朝は早い。
特にその家長の早さはおかしい。
しかしそれをたまーに息子が上回る。
今日は父親が休みであることを知る息子は当然のように夫婦の部屋に乗り込んでいった。
「パパー! 遊んでー!」
「グッ!!」
白鷺の鳩尾に見事に膝を埋め込み無邪気に主張する。
「……、まさかそれをあいにやったりしてるんじゃ……」
「ママにはしないよー?」
パパだけだよ?とニコニコ笑う息子に項垂れる。
……自分が何をしたというのだと。
「天気良いからあそぼ!」
そう言う息子に白鷺が窓から外を見る、が、そこには曇天と言うよりは雨天と言った光景が広がっていた。
「…………良い、天気?」
しかし最近あいに買ってもらったカッパと長靴を履いて彼はご機嫌で玄関に居た。
なる程、彼にとっては良い天気なんだろう。
そしてこれは散歩に連れて行けという事か。
……仕方ない、準備をするか。
ベットでまだ寝ている妻の頬に行ってきますと口付けて息子の待つ玄関へと足を運んだ。
○いい仕事してますね
「あらー?お父さんそっくりねぇ」
「そうですかー?」
そうあいが口では言いつつも実はそうだろう、そうだろうと内心で胸を張っていた。
我ながら実に良い仕事をしたと思う。
息子は完全に白鷺に似ていた。
思わず白鷺の髪型をさせてみたりと息子で着せ替え遊びをするのが日課になる程にあいは息子にメロメロだった。
今日は白鷺との初めての仕事で作った服を着せて公園に来ていた。
……まさか、あの服を彼との子供に着せる日がこようとは……。
そうあいが感慨に耽っていると息子が元気に戻ってきたようだ。
「ママー!」
嬉しそうにあいの足にしがみ付いてくる。
「おなかすいたー」
性格はとても残念な事に自分に似ている気がするが、まぁ元気で良いだろうと息子の頭を撫でる。
「じゃあお家帰ろっか?」
「うん!」
途中、31のチョコアイスが食べたいだのと駄々を捏ねる息子にやっぱり涼真さんの子供だなー、と幸せをかみ締めながら息子の手を取り家路についた。