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3時のおやつ
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コポポポ…
3時頃になったので、おやつの準備を始めた
紅茶を入れて、ガトーショコラを食べやすいように切って
「…ん?あれ、そのお菓子、姉ちゃんの分は?」
と、一郎くんに聞かれた
「あぁ、私の分はないよ、人数分で作ったからね」
「なら俺の分半分分けてやるよ」
「え!俺も!」
「僕も!!」
三人が口々に言うので、私は丁寧に遠慮した
やっぱり、作ったものはあげる本人に食べてほしいから
「そうか…?」
『うん、気持ちは嬉しいけどね、ありがとう』
「…いや、姉ちゃんがそんなに言うなら」
紅茶が入ったので、おやつタイムに入る
「「「いただきます」」」
『はい、どうぞ』
3人がガトーショコラを一口頬張る
「…うん、美味い。流石姉ちゃんだな!」
『本当?』
「はい!美味しいです!」
「美味いよ、姉ちゃん!」
『ふふ、よかった』
3人がそう言ってくれたので、私はほっと肩の力を抜いた
「はは、そんなに緊張してたのかよ?」
『え、なんで?』
「今、思いっきし力抜いたろ?」
『ぐ…』
バレてる…だと…!?
「姉ちゃんは顔に出るんだよな。行動も分かりやすい」
『えー…』
…まぁ、良く言われるけども…
「いいじゃねぇか!素直ってことだろ?」
『…うーん』
一郎くんのその言葉を、素直に喜べない自分がいた…
「…っはー、ご馳走さまでした!」
『はい、お粗末様でした』
一番に食べ終わった二郎くんが、はぁと息をつく
「めちゃくちゃ美味しかったよ!姉ちゃん!」
『ふふ、ありがとう』
きらきらと目を輝かせて言ってくれる二郎くんに、微笑ましい気持ちになる
『…あ、二郎くん、口許に欠片がついてるよ?』
「えっ、どこ?」
口許をぬぐう二郎くんだが、ギリギリ届いておらず…
『ふふ、ちょっと待って』
椅子から立ち上がり、手を伸ばして二郎くんの口許から欠片を取る
…すると、二郎くんは顔を真っ赤に染めた
『…あれ、二郎くん?どうしたの?顔赤いよ?』
そんなに熱かったのかな…
心配になって二郎くんを見つめると、はっと我に返った二郎くんは、ばっと顔をそらして言った
「あっ、いや!大丈夫!あ、ありがとな!」
『?そう…?』
そんな私たちのやり取りを、一郎くんと三郎くんは、ジトメで見つめていたー…
3時のおやつ
(美味しいって言ってもらえてよかった)