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何百年も生き続けているまるでこのあたりの主のようなどでかい樹木を見つけたのはもう何年も前。
どの木だって敵からの身隠れや
武器にしたり渡り木でしかなかった。
だがいつの日からかこの歴史すら感じる樹木が周りの木々とは一味違う風格に見えたのは、その樹木の他の木々と混ざり合い木の葉の色で目を凝らしたところで姿すら見えない位置に座りぶつくさとなにかを呟きながら自然の匂いには相応しくない人工的な石鹸の匂いを漂わしながら枝の根元にへばりついているあいつを気にしだしてからだろう。
今日も、上から出された任務が終わり、基地へと帰る途中、ふと視界に入ったのは鶴音の姿。
『なんで、こんなところにいるんだ?』
いつもあのでっかい樹木にべたべたしている女が、岩隠れの里付近に近いごつごつした岩上で、こんな場所には似合わない笑みで楽しそうに誰かと話している様子が、距離はあるものの、横顔から見うけられる。
報告を基地に帰ってしなければいけないが
どうしても気になり隣にいたデイダラに
「おい!デイダラ。」
「なんだい、旦那?うん。」
「先に帰れ。」
「どうかしたのか?うん。」
「くくっ、他に用があるのを思い出した。」
楽しそうに会話をしている鶴音に、なんだかもやもやした感情をいだきながらも、先ほど任務中に見つけたモノを閉まったポッケトを軽く布越しに確かめながら、いきなり現れた俺に鶴音はどんな反応をするのか。
考えただけで、顔がにやけ笑いがこぼれる。
「旦那…わかった。先に帰って報告しとくよ。うん。」
なんとも、言えない顔を一瞬みせ、デイダラは基地の方向に消えていった。