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願わくば
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私とヨハンの関係を言葉で示そうと思うとどう言うのか正解なんだろうか。少し考えてみたが、一番近いけど、遠くもある。矛盾しているけれど私達の関係はこれがしっくりくる気がする。
私はヨハンが幼い頃からずっと一緒だった。私はヨハンが大事だったし、ヨハンも私のことを大事にしてくれているのはよく分かっていた。
「なぁやめようぜ。やっぱ俺こんなことしたくねぇよ。」
「お願いよ。十代。あなたにしか頼めないことなのよ。」
「でもなぁ…」
隣を歩く十代はまだ何か言いたげだが、残念ながら私の意思は固い。だから十代が何を言おうとも私の願いを叶えてもらう。
「早くしないとヨハンに気づかれちゃう。」
「ヨハンは絶対に悲しむぞ。アカリはそれでいいのか?お前だって本当は望んでないんじゃないか?」
「……」
優しいヨハンは私を探してくれるかもしれない。でも、もう私はヨハンの元へは帰らない。
クリクリー!っという声が聞こえて、十代の横にハネクリボーが。ハネクリボーの目には涙が溜まっている。
「ハネクリボーごめんね。でももう決めたから。」
私と十代とハネクリボーはようやく島の崖まで辿り着いた。崖の下には海が広がっている。
流石にここから落ちたら無事ではすまないだろうな。
「いいんだな…」
「えぇ覚悟はできてるわ。」
いよいよこの時が来た。私は深呼吸をした。大丈夫。怖いのはきっと一瞬だけだ。私は十代に合図を送ると十代は私を海に向かって投げ捨てた。