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怒鳴り声
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トコトコトコ…
人気(ヒトケ)のない廊下で一人、静かに歩いていると
「ねーねー、どこ行くの?」
「もしかして二人きりでデートしたいの⁉」
何を考えているかわからないような表情のワタシとは裏腹に、隣で楽しそうに一人で笑っている彼。
少し腹立たしくなった私は少しカッとなり叫んだ。
「少しくらい静かにして!」
静かな廊下に怒鳴り声が響いた。一瞬フリーズしてしまった彼だが、突然笑いだした。
バカにしていると理解した瞬間、速歩きでその場から立ち去った。
それでも尚、着いてくる彼は私に話しかけている。だが全て無視。
すると突然、手を握られてしまった。逃げようにもその掴んでいる手は大きく、力強いものだった。
「何」と睨みつけながら問いかけた。
すると彼は精一杯の謝罪をしてきた。
「ごめん!俺が悪かった…」
「笑うとかあり得ない」
「ごめん…」
「なんで笑ったの」
「さっきまで俺は君にしか見えない状態だったから一人でキレてて傍から見たら精神不安定のやばい人だなって思って…」
「怒られてるのによくそんなこと考えられるよね」
「ごめん…」
「…次やったら願い事言わないどころか口聞かないから」
「わかった」
少し彼に甘くし過ぎかもしれない。それをわかっていても尚、厳しくできない。
本当にズルい。理解してやっているのだろうか。
「ところで今は周りから見えるっぽいけど?」
「あぁ、切り替えられるんだよ。君以外の人間が見えない時は幽霊のように行動できる。今は人間の真似をしているんだ。そのほうがいいでしょ?」
「どうでもいい」
嘘だ。その方が私は楽だ
「まぁいっか!夜だし寝よ〜」
「え、一緒に寝るの?」
「うん」
「え、無理なんだけど」
「普通に傷つく…冗談じゃん…(´;ω;`)」
「よかった…」
「え、辛っ」