-
プライド高いと人生しんどい
-
先程の爆発で天人が一斉に部屋から出てくる。
間一髪の所で爆発から逃れ、部屋から飛び出し廊下の物陰に隠れた。
危うく巻き込まれる所だった。
再び刀を強く握り、廊下を走った。
私が、晋助に光を、希望を見せないと。
私が晋助を守らないと。
かつて攘夷戦争で生き残り、黒夜叉と恐れられていた記憶が、筋肉が蘇ってくるようで
身体の芯がとても熱く、身体がやけに軽い。
今ならなんだってできる気がする。
晋助の為に死ぬ事だって出来る。
怖いものなんてない。
***************
爆発があった港に着きスクーターを乗り捨てる。
「ここか…!」
船の上には武器を持った天人がうじゃうじゃと蔓延っている。
次の瞬間、天人が数対海に投げ出された。
物陰から船を見ると見慣れた着流しが目に止まる。
「っ!!!」
顔は確認しなくてもわかる。
全てはアイツの仕業だと。
なりふり構わず銀時は船に乗り込み、それに気付いた天人達が刀や釜などで銀時を狙う。
攻撃を交わし、相手の刀を取り上げると喉元に突き刺し高杉と背中合わせになる
「高杉!!!!」
「よォ、遅かったな銀時」
「てめぇ、主人公の名前に何仕込んだ」
「何も仕込んじゃあねェよ」
「じゃあなんてアイツがここに居んだよ!」
「さァな。」
すると甲板の出入り口から天人の叫び声が聞こえた
「た、大将!!!!!!」
「お、おい!!!あの、あの女!!!」
天人の声の方を振り返る銀時と高杉。
そこにはこの船の総督であろう天人のこめかみに先程まで主人公の名前が握っていた刀の柄が突き刺さっていた。
その柄をがっしりと掴んだ主人公の名前が現れた。
「黒夜叉…いや、親殺しの女狐じゃねぇかまだ生きてたとはなぁ!!!!」
親殺しと聞いて主人公の名前の目が一瞬だが大きく開いた。
主人公の名前を見た天人達は嫌な汗をかいて、自分の大将の首どころではなくなった。
自分の命がもうすぐ終わりを告げるであろう事に身震いをした。
ベチャッ、と鈍い音を立てて高杉の前に主人公の名前が取った天人の首が落ちてきた。
クツクツと喉の奥で笑う高杉を横目に銀時はまだその場の状況が飲み込めてないのが伺える。
「おい、女狐さんよォ。どうだいお天道様の下は」
ゲラゲラと笑う天人達は、主人公の名前に力で負けるのが目に見えて、最後の強がりと言ったところだろう。
力で勝てなければ言葉で、精神を追い込む。
そんな言葉のあやに何かプツリと音を立ててキレてしまった主人公の名前は天人達に向かって走り出す。
「っぅぐっ…」
一瞬の出来事だった。
目が追いつかない程の速さで天人の刀を奪い取り切り捨てた。
「なっ…、」
「銀時…お前さんは主人公の名前の何を知っている」
「俺は、」
「何にも知らねェんだろうよ。何年も想いを募らせたのに惚れた女の素性すら知らねェなんて情けねェな」
木刀を握る手に力が入り、ぎりりと音を立てた。
「晋助…」
辿々しい足つきで高杉の所に近寄って行こうとする主人公の名前を天人達は怯えた表情で見て道を開ける
「よくやったじゃねェか」
「晋助の為だ。」
へらりと歯を見せて笑う主人公の名前は
いつの日か村塾の道場で銀時と勝負している時、高杉が道場に主人公の名前を迎えに来た時の嬉しそうな表情と何一つ変わっていなかった。
その顔を見た銀時は下唇を噛み締めた。