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海に行きましょう
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このカルデアにも夏という概念はあったのだろうか…
誰だったか、海に行きたい!!と話題が出てじゃあ私も俺もと話が盛り上がってきた。
マスター2人と複数の英霊。安全な海へレイシフトするそうだ。
じゃあ私はお弁当を作ろうかな、大量に作らなくては…
「貴女は、行かないのですか??」
「えー、私は一般スタッフですし…あ、お弁当は作りますね!!楽しんできてください!!!」
隣にいたアルジュナさんに聞かれる。
私が行っても場違いだろう…
「あ、もちろんアルジュナさんは行きますよね。リツカ君も行くみたいだし…」
「…えぇ、私はマスターの御側に。」
「ですよねー…私はお留守番してますね。」
ちょっと、ちょっとだけ行きたかった。燦々と照り付ける太陽の元、水着を着たアルジュナさんが見たかった。
なーんて、言わないが。行けないのはわかってるし、アルジュナさんを困らせたくない。
「…少し、失礼…」
そう言うとアルジュナさんはリツカ君の所へ行ってしまった。
会話をし、私の元へ帰ってきた。
「マスターから許可が出ました。一緒に行きましょう」
「え、えぇぇぇぇぇ!?!?!?!?」
少し離れた席で、リツカ君が親指を立ててこちらに笑顔を向けていた…
「…き、来てしまった…」
何年ぶりに海を見ただろうか…片手にビーチパラソル、片手にクーラーボックスという装備で立ち尽くす私。レイシフトは意外と問題なく終わった。
英霊達はもう各自遊んでいる。自由か。
適当な場所にパラソルを刺し、クーラーボックスを置く。重かった-
「お疲れさまです。」
背後から声をかけられる。
振り返ると、アルジュナさん…
白の水着、紫の上着を着ていて、今風のアクセサリーを付けて、
「……とても、良くお似合いで…」
ごめんなさい、正直、逞しいお体に目が行きました。
「そういう貴女は水着にならないのですか??」
「私ですか!?うーん、あまり海に入る予定は無いので…」
大きめのパーカーの下に水着は一応着ている、が、今日はあくまで裏方に回ろうと思う。え、何で残念そうなんだろう…
「ーーー…正直、人様に見せれるような体はしてないので…」
「そうでしょうか、折角海に来たのです。少し泳いでみては??」
うーん…アルジュナさんが、そこまで言うなら…
正直、恥ずかしい…パーカーのチャックを下ろし、前を開ける。
「…ほ、ほら…あまり良いものじゃないでしょう…」
アルジュナさんにだけ見えるよう、ちらり、と見せる。
薄いピンクの、フリルビキニ。
……おや、空気が固まったぞ。
アルジュナさんも固まっている…そんなに、あれだったか…
「……お目汚しをしました。」
「…いえ、とても、…可愛らしい、ですね」
珍しく、口どもっている。こちらを見てくれない…
が、よく見ると、耳が赤くなっていた…何と、まぁ…
「…ありがとう、ございます…」
こちらまで、恥ずかしいじゃないか…
「じゃぁ、水着になろうかな…」
「私以外の者に見られるのは嫌ですが…仕方ないでしょう。」
パーカーを脱ぎ、軽く畳んで足元に置く。
「よ、よーし!!!じゃあ、遊びましょう…!!!」
アルジュナさんの手を取り、走り出す。
太陽に照らされた海はキラキラと輝いて、眩しい。
走ると危ないですよ、と彼が言う。
いつもより、明るい声で…