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ジン生誕祭
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※ヒロインがあんまり可愛くないです
ジン『お疲れ様です、 紗姫 さん。ノーブル様へパンのお届けですか?』
紗姫 『はい。今日は特別に林檎のカスタードシュークリームも作ってみたんです。リュオくんが喜んでくれたら嬉しいんですけど…余計な事しちゃったでしょうか?』
ジン『いいえ。喜んで頂けると思いますよ』
紗姫 『それなら良かったです。ジンさんとクラレンスくんの分も作ってありますから、是非食べてみて下さいね』
ジン『ありがとうございます』
ジン(仕方ないとはいえ…面白くないですね。貴女の口から他の男の名前を聞くのは)
紗姫 『あの…少しだけお時間いいですか?』
ジン『ええ…構いませんよ。何なら少しと言わず、朝まで時間を差し上げても宜しいんですが』
紗姫 『要りません!慎んでご遠慮します』
ジン『それで…ご用件とは何でしょうか?』
紗姫 『ジンさんが今、欲しい物って何ですか?』
ジン(ああ…そういう事ですか)
ジン『そうですね…ひとつだけどうしても欲しい物があります。ヒント、聞きたいですか?』
紗姫 『聞きたいです。教えて下さい』
ジン『普段はブーランジェ・ボヌールにありますが、現在はこの場にあります。中々手強くて手に入らないものです。何だか分かりますか?』
紗姫 『うちのパン屋に普段はあって…今はこの場にある…えっと…中々手に入らない物でしたっけ?…あっ!分かりました!』
ジン(コレは絶対分かってない表情ですね。この先の展開は聞くまでもないでしょう)
紗姫 『秋の新作パン、ランチタイム限定100個の紅玉デニッシュですね!』
ジン(やれやれ…言うと思いました。微塵たりとも自分の事だとは思ってないんでしょうね)
紗姫 『それならお取り置きしたのに!ジンさんがそんなに林檎が好きだとは思いませんでした』
ジン『貴女の林檎の様なほっぺが好きなのは否定しませんが…全然違います』
紗姫 『林檎ってヒドイです!』
ジン『そうでしょうか。すぐに真っ赤に染まって…美味しそうじゃないですか、林檎。 紗姫 さんから、私を食べてって誘ってくれてもいいんですよ?』
紗姫 『誘いません!』
ジン『残念ですね。丸ごと齧りたかったんですが…仕方ありません』
紗姫 『ジンさん、お願いします。ちゃんと教えて下さい。私にはとても大事な事なんです』
ジン『秋の新作、ランチタイム限定100個の紅玉デニッシュでいいですよ』
紗姫 『ジンさんはそれでいいんですか?』
ジン『いいですよ。急に食べたくなりました。誕生日までに届けて頂けますか?』
紗姫 『気付いてたんですね』
ジン『はい。気付いてました。プレゼントは 紗姫 さんのお気持ちだけで充分ですよ。何も悩む必要はありません』
紗姫 『ジンさんって…意地悪なんだか優しいんだか…良く分からないです』
ジン『貴女には優しくしてるんですよ。これでも』
ジン(どうせ壊滅的に鈍い貴女の事ですから…私の精一杯の譲歩など分からないんでしょうね。私は気長な方ではないんですが)
【私にはとても大事な事なんです】
ジン(まあ…今はこの言葉一つで良しとしましょうか。私も随分と安い男になったものです。貴女のせいですよ?)
紗姫 『なんて…本当は分かってるんです。誰よりも優しくてあたたかい人だって。この前は眠ってるクラレンスくんに、そっとブランケットをかけてあげてましたね。その前はリュオくんに内緒でシュークリームを作ってあげてました。私、知ってるんですよ。ジンさんは優しい人です』
ジン『面と向かって褒められると…何だか照れますね。擽ったくなります』
紗姫 『ジンさんが照れてるところ初めて見ちゃいました』
ジン(どうしてくれるんですか…もっと貴女が欲しくなってしまったじゃないですか)
ジン『 紗姫 さん』
紗姫 『どうかしましたか?ジンさん』
ジン『来年の誕生日にはちゃんと下さいね』
紗姫 『…え?何をですか?』
ジン『ヒントはさっき出しました。後はご自分で考えて下さい』
紗姫 『もうっ!分からないから聞いてるのに!ジンさんの意地悪!』
ジン『ええ…意地悪なんですよ、私』
ジン(それも貴女限定でね。だから覚悟して下さいね… 紗姫 さん)
貴女がこの手に落ちてきたら…
破格の優しさと…
少しの意地悪をあげましょう。
ニセ物感半端ない~Σ(ノд<)
お目汚し失礼しました!