-
→
-
身体がビクッと跳ねた。
寝てる時によく起こる現象だ。
あー、恥ずかしい。もう少し寝たふりしよ。
身体が跳ねて、何故か頭がスッキリしている。
よく寝たんだなあと思いながら突っ伏して居る机におでこを擦り付ける。
変な夢を見た
感想はただ、それだけだった。
何故私が寝ていたかと言うと
昼休みが始まり、神楽ちゃんに購買に行こうと誘われたが歩きたくもなかった為
仮病を使った。
「具合悪いから今日は…ご飯いらない。ごめんね。」
「大丈夫かヨ?生理?」
「こらこら、神楽ちゃん。そう言う事はおっきい声で言わないの」
妙ちゃんがそっと膝掛けを私の腰に回してくれて
ゆっくり休んでと頭を撫でてくれた。
久々に人に頭を撫でられて
すぐに眠りについてしまったんだなと思った。
そんな事を思い返して、そろそろ起きるか…と身体を起こす。
「起きたか」
「あ、晋助おはよ」
隣の席の彼がそう私に言うと、反射的に言い返す。
何で今名前で私呼んだの?
自分の口から突然に出た発言に顔を真っ赤にして何と言い訳しようか迷っていると
名前を呼ばれた本人も目を丸くしてこっちを見ていた。
「あっ、その、あ、あぁ、あの、さ。私、変な夢見てて。その、ごめん。」
「待ちくたびれたぜ」
「…え」
「夢なんかじゃねェよ。現実だった」
「えと、あの、じゃあ…あの後私…」
「みたいだな。だから、俺たちが此処に居る」
一瞬で理解した。夢と現実とリンクする
この察しの良さや理解の速さは昔から変わらないらしい。
昔にどうしても離れたく無かった人がここにいる。
私、あの後どうしたっけ。そのまま地面に沈んで…
きっと核を潰せた。
だから彼の言う「俺たちが此処に居る」
良かったと胸を撫で下ろし再び机に突っ伏する。
チラリと彼の方を見て。
「晋助、あのさ。あの時もっと話したい事があったんだよね。」
あの時、時間はなかった。
手短な別れだった。それをとても後悔している。
きっとお互いに、だ。
今、何で言おう。何から話そう。
思い出話に花を咲かせるような記憶も残っていない。
けれど、伝えたい事がある。
「晋助、大好きだったよ。」
_________
fin.